技術報告

ステンレス配管システムに関連する様々な技術報告や調査結果などを掲載しています。

公益財団法人 給水工事技術振興財団『給水管分岐部に係る給水配管の耐震性評価報告書』

『公益財団法人 給水工事技術振興財団』殿では、埋設一次側給水配管システムの耐震性を評価することを目的として、国内で数多く採用されているポリエチレン給水配管(1配管)とステンレス給水配管(2配管)を選定して試験を実施いたしました。
その試験の報告書を当協会でもご紹介させていただきます。
報告書ではステンレス給水配管も水道施設耐震工法指針に示されたレベル2地震動に対して耐震性能2を有すると、その高い耐震性能が評価されております。
詳しい試験内容と結果は以下URLの報告書をご覧下さい。
https://www.kyuukou.or.jp/materials/report_2.html

給水システム協会『ステンレス配管システムの地震動に対する変位吸収力検証結果』
『給水管分岐部にかかる給水配管の耐震性評価と指標作成(基礎データの把握)』

給水装置メーカーで組織される『給水システム協会』殿では、埋設一次側給水用ステンレス配管システムの耐震性評価の基礎データを構築することを目的として、地震動に対する変位吸収力を検証するための2種の試験を実施いたしました。

その試験内容を当協会でもご紹介させていただきます。

なお、『給水システム協会』殿では、これらの試験を基に更なる耐震性評価のための地震動に対する変位吸収力の検証試験を実施し、優れた変位吸収力の保有が確認されたとのことです。その試験の評価が公表された後、当協会でもご紹介させていただく予定です。

     

継手ゴム材料の引張破断応力値の変化を指標とした寿命評価方法

建築設備配管用のメカニカル形管継手に使用されるゴム材料は、長期の安定したシール性能が要求されます。その種類は多種多様であり、ゴムの材質により使用出来る温度範囲、寿命は異なります。ゴム材料は水中の溶存酸素、残留塩素、熱、金属イオン、微生物の他、電気的又は継手構造(接水面積)等の機械的要因等が関わる複雑なメカニズムで劣化しますが、今回はその中の「熱」による劣化に着目し、ゴム材料の長期的な安定性能の確認方法として、熱劣化によるゴム材料の引張破断応力値σRの変化を指標としたゴム材料の寿命評価結果について報告します。

オールステンレス配管システムのLCC等評価について

ステンレス協会では、明治大学殿、ニッケル協会殿、日本バルブ工業会殿と共同で、国土交通省の住宅・建築関連先導技術開発事業の一環として、平成19年度から21年度までの3年間にわたり、『超高耐久オールステンレス共用部配管システムに関する技術開発』(委員長:明治大学理工学部 坂上恭助教授)に取り組みました。
この技術開発においては、各種技術開発とともに、集合住宅をモデルに、ステンレス配管の長寿命を生かした経済性と地球環境に配慮したステンレス配管システムのライフサイクルコスト(LCC)及びライフサイクルCO2(LCCO2)評価の検討も行っております。
ここではその検討内容についてご紹介します。(『オールステンレス共用部配管システムに関する技術開発報告書より抜粋』)

消火系配管にステンレス鋼鋼管を使用する場合の留意点

昨今、連結送水管においてステンレス鋼鋼管は軽量で施工性も良く、耐食性にも優れた性能を発揮する事から採用が急速に進んでおりますが、稀に水質、微生物、異物混入が原因と思われる腐食事例が確認されております。本資料では、ステンレス連結送水管での腐食事例の発生を受け、それを紹介するとともにステンレスの優れた耐食性を発揮するための留意点を記載します。

一般配管用ステンレス鋼鋼管(JIS G 3448)における推奨圧力について

ステンレス協会では、一般配管用ステンレス鋼鋼管(JIS G 3448)における推奨圧力について以下の見解を取り纏めましたのでご紹介致します。

メカニカル形管継手の耐久性について

メカニカル形管継手の耐久性は、一般的には使用されるゴムパッキンの寿命に左右されます。ステンレス協会規格「一般配管用ステンレス鋼鋼管の継手性能基準:SAS322」では、ゴムパッキンの熱影響に対する耐用年数を念頭に「実態による促進劣化試験」を規定しております。

ステンレス鋼と保温材に関する調査

ステンレス協会では、ステンレス鋼配管に対する環境とシステム的に使用されるその他材質との腐食の関係について調査を行い、環境及び施工法についてその基準・指針の作成に当ってきました。
今回、建築設備配管における保温材の中で、従来使用されていた鉱物性の保温材に加えて、近年、石油化学系の保温材が使用されることが多くなり、これに対するステンレス鋼の耐食性に関しての判断基準が不明確との意見がステンレス協会に寄せられました。
ステンレス協会では、この問題に対応するべく調査・実験を行い、ある知見を得ましたのでここにその報告をさせていただきます。
尚、今回の報告は石油化学系保温材の性質の一部を知るのみで、最終的な材質判定基準と判定試験方法の策定までには至りませんでした。これらの基準・試験方法を策定するには、これまでに倍する時間がかかるものと考えられますが、今回の調査結果の公表が今後のステンレス建築設備配管に好影響を与えることを希望しております。

ステンレス鋼鋼管と異種金属とを接続する場合の絶縁施工について

異種金属の接触によって起こるガルバニック腐食とは一般的に、水等の電解溶液中で電位の異なる二つの金属が接すると、両者の間に電池を形成し、電位の卑な金属がアノード(陽極)となって腐食が助長され、電位の黄な金属がカソード(陰極)となって腐食が抑制されます。アノード側で助長される腐食現象を異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)と呼んでいます。
表-1に、腐食の助長、抑制の傾向を知る目安となる、海水中における金属の自然電位の例を示します。ステンレス鋼や銅は比較的貴な電位の金属に属し、これに対して炭素鋼や亜鉛は卑な電位の金属に属します。
従って、電解溶液中でステンレス鋼と卑な金属の炭素鋼を接触させると、電位差が大きくガルバニック電流が生じて、炭素鋼の腐食が助長されることになります。
この現象を判りやすく表示したのが図-1です。(*本文より抜粋)

E-ディフェンスを用いたステンレス配管の耐震試験結果について

ステンレス協会では、現在、200年住宅ビジョンの実現を目指し、国土交通省が募集した「住宅・建築関連先導技術開発助成事業」に参画し、超高耐久オールステンレス配管システムの技術開発を行っています。
本技術開発では、200年住宅対応のステンレス配管システムの耐震性能に関しても研究課題として取上げています。
今回、独立行政法人防災科学技術研究所が実施する文部科学省からの委託研究「首都直下型地震防災・減災特別プロジェクト」の一環として、独立行政法人建築研究所が行なった建築設備の耐震性評価をE-ディフェンスで実施しました。
この結果、建物の主要構造物である梁の端部に破断が発生したにもかかわらず、ステンレス配管システムは、気密試験による漏れは無く、支障のある変形等は無いことが確認されました。
詳細は添付PDFをご覧ください。またEディフェンスの詳細や構造躯体の実験結果については、防災科学技術研究所のホームページをご参照ください。防災科学技術研究所のホームページ
http://www.bosai.go.jp/hyogo/movie.html

ステンレス配管用ポリスチレンフォーム保温材について

官公庁仕様で、「給水管・排水管の保温材について表1のように床下、暗渠内、屋外露出、浴室、厨房等の多湿箇所配管は濡れても熱伝導率があまり変化しない防露性によりポリスチレンフォーム保温筒を使用するように共通仕様書に掲載されています。また、このような箇所の配管材料としては、腐食しにくい、耐食性に優れたステンレス配管が採用されています。
しかし、ポリスチレンフォーム保温筒の呼び方の表示がステンレス配管(Su)に適合しておらず使用しにくいため、関係団体で協議し、改善するようにとの要請がステンレス協会にありました。このため、ステンレス協会では、ポリスチレンフォームメーカーの団体である日本フォームスチレン工業組合にお願いし、以下の対応を行っていただきました。(*本文より抜粋)

モデル配管における水道水中の残留塩素測定調査

造成団地においては、配水管口径と比較して、初期の通水量が小さいため配管の残留塩素減少の問題がある。本調査では、ステンレス管の残留塩素吸収量が小さいことに着目して、モデル配管を用いた残留塩素測定により、残塩減少特性に関してステンレス管と他材料管の相対評価を行った。評価方法として、残塩減少実験式をモデル配管に適用した場合の残塩濃度計算結果と実測データを比較して、ステンレス管および他材料管の残塩減少係数を導き出して、比較検討を行った。評価試験は、口径の異なるモデル配管で、一年を通して行い、口径および水温の残留塩素減少におよぼす影響についても検討したので、調査結果を報告する。(*本文より抜粋)

建築設備用ステンレス配管の水質指針-改訂版1

ステンレス屋内配管において材料側に明らかな欠点がなくても、水質条件によっては、孔食、すきま腐食、応力腐食割れ等が発生する事例があり、ユーザーからステンレス鋼を屋内配管設備として使用する場合の ( 耐食性の観点からみた ) 水質限界を明らかにして欲しいとの要望を強く頂いています。
このため、ステンレス協会では、平成10年(1998年)に暫定的に「建築設備用ステンレス配管の水質指針」を発行しました。(HP及び「ステンレス、第42巻12号、1998年、ステンレス協会」で報告しました。)
その後、漏水事故事例で、遊離残留塩素(以下、残留塩素と記述)の影響を含めないと説明がつかない事例が出てきていること及びステンレス協会会員会社及びユーザーにおいて新たに研究がなされ、報告書が公開されたため、その成果を活用させて頂き、中水など残留塩素が多量に添加された水の使用や、大型建築物件で塩素滅菌処理を現地で実施する場合、必要以上に添加しないよう注意を喚起することを主目的として、水質指針の改定版を発行するに至りました。
改訂版では、残留塩素と自然電位の関係図、各種残留塩素濃度における腐食発生限界に及ぼす塩化物イオンと炭酸水素イオンの関係図を策定し、実環境を推定した溶接継手用の腐食発生限界水質区分簡便図及びメカニカル継手用のすき間腐食発生限界水質区分図を設定しました。
今後、更に実態調査や文献調査を継続実施し、ステンレス配管を安心して使用して頂けるよう、水質指針を信頼性の高いものに少しでも近づけたいと考えています。

ステンレス鋼の合金元素浸出評価試験報告

浸出値はいずれも水質基準を大幅にクリアステンレス協会はステンレス鋼からのニッケル、クロム等の浸出値が水質基準値に比べ、どの程度の水準にあるかを調査するための第三者機関に委託して、合金元素の浸出試験を行った結果、いずれの元素も厚生省の定めた資機材基準値および水質監視項目指針値を十分にクリアしていることを確認しました。
合金元素の浸出評価を行った背景と浸出試験方法、試験結果について報告いたします。(*本文より抜粋)

「ステンレス鋼鋼管は冷却水配管に適さない」に対するステンレス協会の見解

炭酸カルシウム成分などの多い冷却水配管にステンレス鋼管を用いると、溶接部で炭酸カルシウムが析出し、熱影響部近傍で孔食を生じるという現象は妥当です。
資料1でも実験でその現象を確認しています。しかし、本著書では、溶接部で炭酸カルシウムが析出することによりステンレス鋼溶接部の腐食反応におけるカソード反応が促進され、孔食が生じるように記述されていますが、孔食を生じるためにはアノード反応を誘発するためのハロゲン(塩素イオン等)の存在が必要です。
不動態皮膜を破壊するハロゲンの存在なしでは、カソード反応が促進されても、流れる電流はステンレス鋼の不動態維持電流程度に留まり、孔食にはいたりません。
炭酸水素イオン濃度と塩素イオン濃度の共存するある濃度域において、配管熱影響部の腐食が加速されることを報告しています。
空調配管に関する水質指針は、建築設備用ステンレス配管の水質指針―改訂版をご参照ください。
この「ステンレス鋼管は冷却水配管に適さない」を掲載したのは、平成14年(2002年)ですが、「水質指針―改訂版」は平成23年(2011年)に掲載いたしました。
以下、具体的なデータを用いて説明します

水道用ステンレス鋼鋼管土壌腐食試験調査結果

ステンレス協会では、日本各地の土壌環境中における水道用ステンレス鋼管の耐食性を評価するため、水道用ステンレス鋼管土壌腐食試験小委員会を組織して、1979年度より全国25箇所の試験地に数種のステンレス鋼管と、これを各種の継手で接合した管ならびに 比較のための炭素鋼管、鉛管 および 銅管を含む配管材料を埋設し、5年間にわたる土壌試験を行いました。
その後、埋設期間をさらに延長した試験も追加する必要性を認め、1980年度より一部の試験項目を除き12箇所の試験地で、10年間の長期試験を行いました。
この試験結果については、ステンレス (第41号7巻 1997年 ステンレス協会)で報告されていますので、この内容をご紹介致します。

事務所ビルにおける給水・排水用ステンレス鋼鋼管の耐久性評価

本報告は、某事務所ビルで行ったステンレス鋼管の給水管と汚水管の経年変化の調査報告です。
建物竣工当時は、まだステンレス鋼管を衛生設備に適用した事例はなく、給水管の接続には銅管継手をろう付けし、汚水管は工場で部材加工したものを現場で突合せ溶接をして、施工しました。
この調査報告は、竣工後10年目の給水管と汚水管、26年目の汚水管の調査結果について、ステンレス協会『ステンレスvol.46 No.2 2002』論文から一部加筆して掲載するものです。

建築設備用ステンレス配管の耐久性調査結果

ステンレス協会では、ステンレス鋼管の安全衛生面の調査や温水浸漬腐食試験を行なって、水道水に対する耐食性の調査を行なっていますが、建築設備配管は、管、継手、バルブ、溶接、異種管との接合などを含んでいるために、実験室での基礎的な調査研究のみでは、屋内配管としての総合的な評価は充分ではありません。
そこで、ステンレス協会・屋内配管開発委員会が、1974年から約10年間にわたって、東京都内の4つのビル建築物に、ステンレス配管と継手を装着し、実際の使用状態での耐食性を調査した結果を要約したものです。
ステンレス配管システムが実際に採用されてから、30年近くが経過しており、27年経過後の冷温水・給湯・汚水配管についての最新の解体調査結果も併せて、概要を報告しています。