Q&A

よくある質問Q&A

1.腐食について 回答 引用
1 フランジ接合部のガスケットによる腐食について ガスケットは水に接して塩素イオンを溶出しないもの。また、テフロン包みガスケットの使用を厳守してください。ヒートパッキン(ガスケット)は塩素イオンの溶出によりフランジ面に腐食が発生する可能性があります。使用しないでください。 公共建築工事標準仕様書
2 保温材が漏れた時の腐食について 保温材の材質によっては塩素イオンの溶出、濃縮により孔食や応力腐食割れが発生する事があります。RW,GW,硬質ウレタンフォーム、ビーズ法ポリエチレンホームは実験の結果、結露水(脱イオン水)による濡れに対して問題はありません。但し、管内からの漏水(塩素水)に対しては塩素イオンの濃縮によって上記腐食に発展する可能性が高くなります。 ステ協報告書・レポート
3 水質による影響について 水質調査で重要な指標は、塩化物イオン、Mアルカリ度(pH4.8酸消費量、又は炭酸水素イオン)、硫酸イオン、温度、pH値です。これらの数値レベルによっては腐食が発生する可能性があります。特に給湯などの高温領域での使用にはより注意が必要です。 ステ協配管マニュアル
4 塩素イオンによる影響について ステンレス鋼の耐食性は表面の極めて薄い不動態皮膜により保たれています。不動態皮膜は塩素イオンに対して脆弱で、濃度レベルによっては不動態皮膜が局部的に破壊され、孔食、隙間腐食、応力腐食割れなどの腐食に発展します。 ステ協配管マニュアル
5 隙間腐食について 金属(同種・異種)同士の重ね合せ部、ガスケットのようなゴム、プラスチックの合わせ目など極めて微小な隙間部に発生する腐食で、水質環境によっても発生条件が左右されます。メカニカル継手の腐食は概ね隙間腐食といわれています。 ステ協配管マニュアル
2.ガルバニック腐食、絶縁について 回答 引用
1 ガルバニック腐食とは 電位の異なる金属を電解溶液中で接触させたとき、より電位の卑な金属が腐食する現象をガルバニック腐食といいます。 ステ協報告書・レポート
2 SUSと銅の接続は 電位が近似しており、尚かつ、数々の実験と実績から直接接続しても問題はありません。絶縁は不要です。 ステ協報告書・レポート
3 SUSと鉄の接続は 電位差が大きいため局部電池の発生によりガルバニック腐食が発生します。絶縁が必要です。 ステ協報告書・レポート
4 SUSと黄銅の接続は 旧来型の黄銅は電位差が大きく絶縁が必要です。耐脱亜鉛腐食黄銅であれば絶縁は不要(但し、60℃以下)です。 ステ協報告書・レポート
5 支持金物との接触で腐食は起こるか 乾燥空間における異種金属の単純接触ではガルバニック腐食は発生しません。但し、この場合は外部短絡回路を避けるために支持金物はデップの使用か、管に防食テープを巻いた上で取り付けてください。 ステ協報告書・レポート
6 絶縁短管は必要か 外部短絡している場合は、「許容腐食量より求める場合の算出式」から得られる寸法の絶縁短管か、500mm以上か管径6倍以上の絶縁短管を使用する必要があります。 ステ協報告書・レポート
3.SUS鋼種別の特性 回答 引用
1 ステンレスとは stain(錆)less(にくい)な鋼であり、錆びない鋼ではありません。JISの用語によれば、Cr含有率が10.5%以上、炭素含有率を1.2%以下とし、耐食性を向上させた合金鋼と記述されています。 ステ協配管マニュアル
2 SUS304とは オーステナイト系、18Cr-8Ni、固溶化熱処理品は非磁性、加工硬化性大。加工硬化により生じた加工誘起マルテンサイトは磁性を有しています。 ステ協配管マニュアル
3 SUS316とは オーステナイト系、18Cr-12Ni-2.5Mo、固溶化熱処理品は非磁性。Moを含有する分、高価ではあるがSUS304より耐食性が向上しています。 ステ協配管マニュアル
4 SUS444とは フェライト系、19Cr-2Mo-Ti,Nb-LCN、強磁性、加工硬化性小、熱膨張は軟鋼並です。貯湯槽、蓄熱槽用途が主力です。 ステ協配管マニュアル
4.その他 回答 引用
1 つば出し継手、ハウジング継手は蒸気還管・給湯管に使用出来るか 蒸気還管の接合方法としては、管端つば出しステンレス鋼鋼管継手(SAS363)など、フランジまた溶接接合が一般的です。給湯管は上記工法他メカニカル継手(SAS322)による接合が一般的で、ハウジング継手(SAS361)の用途については、①EPDMが冷却水冷温水、排水、消火、②耐塩素EPDMが、給水、冷却水冷温水、排水、消火系、と記載されており、蒸気還管・給湯管用途とはなっていません。 公共建築工事標準仕様書
SAS361:2014
2 蒸気還管にメカニカル継手が使用出来るか 標仕には、原則としては、フランジ接合又は溶接接合と記載されています。但し、拡管式継手メーカーの中には蒸気還管用に販売している商品もあります。詳しくは製造メーカーにお問い合わせください。 公共建築工事標準仕様書
3 土壌埋設する際の注意点 給水管の場合は、土壌との接触を避けるため、SUS304の場合はポリエチレンスリーブを被せるか、また、ペトロラタム系防食テープを1/2重ね一回巻きを行いさらに防食用ビニルテープ1/2重ね一回巻きを行います。また、より耐食性の優れたSUS316を採用するなどの考慮も必要です。また、給湯管の場合は、保水性のない保温材を巻いた上でポリスリーブを被せるか、上記防食テープ等で管を養生した上から同様の保温材を巻いて埋設してください。 ステ協配管マニュアル
4 コンクリート埋設する際の注意点は 出来るだけ短い距離とし、給水管の場合は土壌埋設と同じ方法になります。また、給湯管の場合は管とコンクリートの伸縮率が異なるため保温材など緩衝材を巻く必要があります。 ステ協配管マニュアル
5 ステンレス配管のコストPは 鋼管に比較して、優れた施工性、管サイズダウン、重量のメリットにより労務費、材料費の削減が可能です。従って、材工込みの複合コストで評価する必要があります。また、長寿命が期待できることからLCC(ライフサイクルコスト)で評価する必要もあります。 ステ協配管マニュアル
6 SUS配管の寿命は SUS配管の寿命は、接合材の中でも特にゴムガスケット(パッキン)の寿命に依存します。ステンレス協会では、給水用途で100年以上/25℃、給湯用途で40年/80℃を期待寿命としています。 ステ協配管ガイド
7 ゴムガスケット(パッキン)の材質は SAS322、SAS361(共に、2014年版メカニカル、ハウジング継手性能基準)によるとゴムガスケット(パッキン)の材質は、ⅡR、CⅡR、FKM、HNBR、EPDM、耐塩素性EPDMと規定されていて、性能基準が定められています。 SAS322:2016
SAS361:2014
8 配管の支持、間隔は パイプが薄肉で自重でたわみが生じ易いため、接続、分岐箇所近くを堅固に支持固定してください。水平配管の場合は、配管に生じる応力が許容応力値以下であることと、滞留しないように勾配を設け、支持間隔はステ協配管マニュアルを参考してください。また、垂直配管の場合は、建造物の構造にもよりますが、実務上は各階1ヵ所の支持で問題ありません。 ステ協配管マニュアル
9 配管の伸縮処理方法は 配管の熱膨張による伸縮処理方法は、配管の可とう性によって吸収する方法と、伸縮管継手を入れる方法が一般的です。 ステ協配管マニュアル
10 溶接加工時の管内酸素濃度は 現場溶接は原則禁止としていますが、どうしてもという場合には、アルゴンガス、窒素ガスでバックシールを行う際の管内酸素濃度は50ppm以下に調整する必要があります。また、腐食環境の場合は30ppm(窒素ガスの場合)以下を推奨しています。 ステ協配管マニュアル
11 生活排水に使えるか ステ協配管マニュアルには一般配管用ステンレス鋼鋼管の使用範囲として、給水、給湯、冷却水、冷温水、蒸気、蒸気還管、生活排水(汚水と雑排水)、消火配管と記述されています。しかしながら、生活排水については流体成分が特定出来ないことから、薄肉管より、より腐れ代のある肉厚管を使用し、フランジかカップリング継手による接合を推奨します。 ステ協配管マニュアル
12 工場排水に使えるか 比較的流体が特定できる工場排水については使用実績が増える傾向にあります。高温(100℃前後)になる場合は、高温用のメカニカル継手か溶接加工のフランジ接合が一般的です。土壌埋設については管の養生、伸縮処理の方法を工夫する必要があります。 ステ協配管マニュアル
13 一般配管用ステンレス配管の最高使用圧力、温度は 2004年のJIS改正に伴い、圧力1.0MPa以下の記述が削除されました。ステ協としては継手を含めた配管システムとして捉え、推奨最高使用圧力を2.0MPa以下を目安に、温度の上限は150℃としております。 ステ協配管マニュアル
14 塩素イオンと遊離残留塩素の違いについて 水に含まれる塩素イオンは単純に塩分です。遊離残留塩素は浄水場で殺菌処理するために原水に投入するもので、ガス状で存在するために曝気したり加熱すると分解します。 ステ協広報WG
15 ねじ込み作業におけるシール材について ステンレスのねじ込み作業を行う際のシール材は、液状シール材と、シールテープの2種類に大別されます。このうち、液状シール材はステンレス配管専用品とし、用途別に①水道配管用②給湯配管用③一般配管用④蒸気配管用、と種類があります。用途にあったものを使用してください。又、シールテープはJIS表示品(JIS K 6885)を使用してください。 正しいねじ込み配管の手引き
16 ステンレス鋼のリサイクル性について ステンレスは何度でもリユースが可能で、スクラップ価格が高価であること、リサイクルルートが全国ネットで確立されていることから、現在では、端材、廃材の80%以上が回収され、ステンレス製品の原料の60%がリサイクルスクラップとなっています。 ステ協配管ガイド