配管用炭素鋼鋼管や塩ビライニング鋼管などの他管種から、ステンレス鋼鋼管に設計変更する場合においては、以下の理由によりサイズダウンを図ることが可能となります。
①ステンレス鋼鋼管は、他管種と較べて肉厚が薄いので実内径が大きく、かつ管の表面が滑らかなことから、水が流れる 際の抵抗が小さく、より多くの水を流すことが出来ます。(実内径比較:表1参照)
②ステンレス鋼鋼管は、耐食性や耐キャビテーション性に優れているので、他管種より早い流速を採用することが可能です。
但し、その際は騒音・振動・水撃作用などを考慮する必要があります。尚、各管種の一般的な流速基準については、表2をご参照下さい。
表3は、各種管材ごとに流量を試算し比較したものです。(ヘーゼン・ウイリアムス式による) また図1では、表3での試算をもとに、サイズダウンの一例を示しております。
このようにステンレス鋼鋼管を採用した場合には、サイズダウンが可能となることがわかります。
表1 他管材との実内径及び質量比較
注:1.外径欄の上段は、建築用銅管サイズを示します。
注:2.一般配管用ステンレス鋼鋼管は、呼び径25Suまでが建築用銅管サイズ(JIS H 3300)、30Su以上は配管用炭素鋼鋼管(JIS G 3452)サイズとなっています。
表2 各種管材の流速基準(改訂版 建築用ステンレス配管マニュアルより)
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図1 サイズダウンの一例 |
表3 一般配管用ステンレス鋼鋼管と他管種との流量比較(L/min)ヘーゼン・ウイリアムスの式による
V=流速(m/sec) R=単位摩擦損失圧力(Pa/m) C=流量係数
*1 ステンレス協会の調査結果より
*2 空気調和衛生工学便覧 第14版 空気調和設備編より
*3 SHASE-S206-2009 給排水衛生設備基準・同解説より
注①:V値(流速)については、一般的な数値である2.0m/sec(銅管は1.4m/sec)と設定した。但し一般配管用ステンレス鋼鋼管については、上限値である3.5m/secも 加えて、各々の流量を比較した。
注②:R値(単位摩擦損失圧力)については、流体による摩擦損失が過大になると、ポンプの能力を大きくするなどの対策が必要となるため、440Pa/mを最大値として設定した。この場合、小径管は摩擦損失が抑制条件となり、管径が大きくなると設定流速でもR値は440Pa/m以下となる。表中の”―”は、摩擦損失圧力優先か流速優先かを示したものである。
尚、配管サイズ決定の詳細につきましては、『建築用ステンレス配管マニュアル (P54~P60)』に掲載されていますので、そちらもご参照下さい。