現在、ステンレス鋼は耐食性・耐熱性・美観等といった特性を活かし多種多様な分野・用途にご使用いただいております。一口にステンレス鋼といっても、数多くの鋼種があり用途に応じて使い分けられています。どういったステンレス鋼が使用されているのかを理解するには正しい表示が必要となります。
当協会にて各種ステンレス製品の表示内容について調査しましたところ、まぎらわしい表示ばかりではなく製品によっては、虚偽表示と思われるような表示もなされている場合もありました。
正しい表示がなされていないとステンレス鋼の特性を活かせないばかりか、最悪の場合はお客様でのご使用に際しても問題となる事があります。又、ステンレス鋼は100%リサイクル可能な材料ですが、リサイクルを促進するためにも正しい表示が望ましいと考えております。
こういったことから、当協会として別表の通り表示に関するガイドラインを作成いたしましたのでステンレス鋼・ステンレス製品の表示に際しての参考としてください。
ステンレス鋼・ステンレス製品表示ガイドライン(表示例)
下表を参照していただき、鋼種名または鋼種名・成分系の併記をお勧めします。
鋼種名 | 成分系 |
---|---|
SUH409 SUS410 SUS420J2 |
クロム系ステンレス鋼 (Cr系ステンレス鋼) |
SUS436L | クロムモリブデン系ステンレス鋼 (Cr-Mo系ステンレス鋼) |
SUS301 SUS304 |
クロムニッケル系ステンレス鋼 (Cr-Ni系ステンレス鋼) |
SUS316 | クロムニッケルモリブデン系ステンレス鋼 (Cr-Ni-Mo系ステンレス鋼) |
SUS201 | クロムマンガン系ステンレス鋼 (Cr-Mn系ステンレス鋼) |
「ステンレス鋼」という表示だけでは、各種鋼種の内容が不明であり最適用途への適用という観点からは望ましくありません。
製品によっては、Cr・Niの含有率を数字で表示(例:SUS304の場合18-8)されるケースもあります。
・上表(表示例)以外の鋼種についてはJIS鋼種一覧表・ステンレスメーカーのカタログ等を参照してください。
・「なべ」、「湯沸し」に関しましては、家庭用品品質表示法の規程に従って表示してください。
まぎらわしい表示について
下記のような表示は、ステンレス鋼の種類を特定できないだけでなく、お客様に誤解を与えるおそれがありステンレス鋼の表示としては望ましくありません。
a) 高級ステンレス、ステンレス刃物鋼、ハイカーボンステンレス鋼 使用しているステンレス鋼の性質・特性を表してはいますが、鋼種名・成分系を特定できませんのでガイドラインの内容に沿った表示の併記が望まれます。
b) ST-STEEL、XXステン、ステンXX、XXX(社名等)SUSステンレス鋼としてわかりにくく、鋼種・成分系を特定できませんのでa)の場合と同様にガイドラインの内容に沿った表示が望まれます。
備考: 各社の独自鋼種記号について
JIS鋼種表示とは別に、製造メーカー独自の鋼種表示があります。
これにつきましては、各社のカタログ・HP等によりご確認願います。
製造メーカー | 独自記号 | 例 |
---|---|---|
愛知製鋼㈱ | AUS、AUH、AUT | AUS205、AUH301Si |
山陽特殊製鋼㈱ | QS、QD、QPD、QSH、QMR、SIC | QS304E、QD51 |
JFEスチール㈱ | JFE | JFE409SR |
新日鐵住金ステンレス㈱ | NSSC | NSSC131 |
新日鐵住金㈱ | NSSMC-NAR | NSSMC-NAR-301L |
大同特殊鋼㈱ | DS(R、D、P、M、N)、LAK | DSR6F、DSN9、LAK41 |
日新製鋼㈱ | NSS、NCA | NSS304ES、NCA-2 |
日本冶金工業㈱ | NAS | NAS254N |
明道メタル㈱ | MSS | MSS430M |