我が国の景気は、持ち直してきているものの、依然として厳しい状況にあり、雇用情勢の一層の悪化やデフレの影響など、景気を下押しするリスクも存在する状況にあります。こうした状況の下では、受注量が十分には回復していないことに加え、仕事を受注できた場合でも、発注時における買いたたき、契約後の下請代金の減額や支払遅延、割引困難な手形の交付等により、下請事業者に不当なしわ寄せが生じることが懸念されます。
下請事業者の資金繰りに支障を来さないようにするためには、親事業者が下請代金を、早期にかつ可能な限り現金で支払うことが重要です。
こうした厳しい経済情勢をかんがみ、政府は昨年12月に緊急経済対策を取りまとめ、中小企業の資金繰り対策などの実行性ある政策に重点的に取り組むとともに、下請代金支払遅延等防止法等の関係法令の厳格な運用と違反行為への厳正な対処も行っておりますが、一方で、全国48か所に設置した「下請かけこみ寺」における相談件数が昨年度の実績を既に上回るなど、各種相談窓口において多くの相談が寄せられております。
弱い立場におかれている下請事業者が自ら親事業者に対し改善を申し入れることは困難な場合が多いこと、下請中小企業振興法第3条に基づく振興基準の遵守の重要性が一層高まっていることから、政府としては、昨年11月の要請に加え、改めて本書面を発出し、振興基準等を始めとする下記の事項の遵守をお願いします。
1.振興基準の遵守について
(1) 取引対価については、合理的な算定方式に基づき、下請中小企業の適正な利益を含み、労働 条件 の改善が可能となるよう、下請事業者及び親事業者が協議して取引対価を決定すること。また、あらかじめ定めた時期や頻度にかかわらず、材料費の大幅な変更等経済情勢の変化や発注内 容の変更に応じ、随時再協議を行い、改定を行うこと。
(2) 下請代金の支払については、発注に係る物品等の受領後、できる限り速やかに、かつ、できる限り現金で支払うものとし、少なくとも賃金に相当する金額については、全額を現金で支払うものとすること。手形で支払う場合には、手形期間の短期化に努めること。
(3) 平成21年4月30日公布の不正競争防止法改正により、営業秘密の管理に係る任務に背いて、複製禁止の資料を無断で複製する行為、消去すべきものを消去したように仮装する行為等が新たに刑事罰の対象となり、近々施行が予定されている。今後、同改正を受けて改訂予定の営業秘密管理指針について、親事業者の理解を深めること等により、下請事業者の特許権、著作権等知的財産権や営業秘密等の知的財産の取扱いに関して、下請事業者に損失を与えることのないよう、十分な配慮を行うこと。
(振興基準については下記サイトを参照願います)
親事業者においては、下請取引適正化に関する講習会の受講をお願いするとともに、調達担当者のみならず、役員等責任者が率先して社員教育などを通じて振興基準の周知に努めるようお願いいたします。(下記サイト参照)
2.発注における下請事業者に対する配慮等について
景気の厳しい影響が下請事業者に偏ることのないよう、下請事業者に対する発注を継続する、可能な限り前倒しで発注するなど、発注において親事業者が下請事業者に配慮する事例があります。
こうした配慮が幅広い業種で行われていくよう、親事業者と下請事業者の望ましい企業間取引事例について下記サイトをご覧くだい。
中小企業庁:「下請適正取引等の推進のためのガイドライン」ベストプラクティス集(三訂版)
また、中小企業の新たな取引先の開拓を支援するため、インターネットを利用した取引あっせんシステム(ビジネス・マッチング・ステーション(BMS))を財団法人全国中小企業取引振興協会が運営しております。(下記サイト参照)
BMSは、取引あっせんの外、ビジネスパートナーの検索や、官公需情報の収集等も可能なシステムとなっていることから、本システムへの登録をお願いいたします。