この度、ステンレス協会第58回定時総会におきまして会長に就任致しましたので一言ご挨拶を申し上げます。
ステンレス協会は、昭和34年(1959年)に設立されましたが、昨年の50周年を経て、実に半世紀を超える歴史を積み重ねてまいりました。この間、ステンレス協会会員各社、並びにステンレス産業に携わってこられた多くの先輩各位のご苦労とご尽力に対し、深く敬意を表する次第でございます。それと共に、このステンレス協会の歴史の重みと責任の重さを改めて感じる次第であります。
皆様ご存知のように、環境問題への対応と資源の有効活用は、世界が今後とも持続的に成長するための最重要課題です。5月にブラジルで開催されたISSF総会においても確認されたように、長寿命かつ高いリサイクル性を有するステンレス製品は、21世紀に入って、基礎素材としての重要性を一層増しているものと考えます。
一方で、中国を中心とする生産能力の飛躍的な拡大や、ステンレス鋼の主原料にまで及んだ投機的な価格変動は、世界のみならず、日本のステンレス産業の健全な発展にとって、大いに脅威になると思われます。このような、厳しい環境下でも、いかにして日本のステンレス産業の健全な発展を進めていくか、又、正しい情報を世界に発信しリードしていくかが、ステンレス協会の主要な使命であると考えております。
幸いにして、日本のステンレス産業には、世界に負けない高度かつ豊富な技術の蓄積があります。これまでも、新鋼種開発や品質改良などにより、素材の優位性を保ちつつ、お客様や市場のニーズに応えて、需要の裾野を着実に広げて参りました。近年では、ニッケル価格が大幅に変動した際に、コスト低減ニーズに応えて代替鋼種を開発し、市場に供給してきたことなどが、その一例です。
真の国際競争力が問われる変動期に、ステンレス協会の会長に就任するにあたり、義村前会長の進めてこられたISSFをはじめとするグローバルベースでのコミットメントや、日本国内における公共物件へのステンレス鋼の採用拡大推進、統計データの適時提供、環境問題への対応等を引続き進めて参ります。何卒、宜しくお願い申し上げます。
最後になりますが、会員各社の格別のご指導とご援助をお願い申し上げ、会長就任のご挨拶とさせて頂きます。有難うございます。