会長就任に際して  井上 昭彦 新会長

 

 

 

 

ステンレス協会 会長
井上 昭彦
(日鉄ステンレス株式会社 代表取締役社長)

 

 この度、ステンレス協会の第88回定時総会におきまして、会長に就任いたしましたので一言ご挨拶を申し上げます。

    ポストコロナ期に入った国内外の政治経済情勢は、様々な事象の影響を受けながらも依然として緩やかな回復過程を辿っており、我が国ステンレス鋼産業を取り巻く事業環境もその影響の下で需給の弛緩を繰り返し、私達は日々その課題への対応に意を砕いております。

 一方で巨視的には、私達ステンレス鋼産業はステンレス鋼という耐食性や耐熱性、強度、意匠性、リサイクル性の高さ等、非常に優れた様々な特性を有する基礎素材を通じて我が国の産業構造を支える責務を担っており、如何なる環境下においても社会課題解決への取り組みに注力すべきであることは論を俟たないものと存じます。

 より具体的には、私達はステンレス鋼の開発と製造を通じて、社会が抱える課題にソリューションを提供し続けて参りました。社会が目指す脱炭素社会の実現や高度IT化、更には災害大国である我が国が進める国土強靭化等の社会・産業構造を実現する上で、私達が今日まで培ってきた技術力、商品力が貢献できる部分は大きく、これらの力は今後も更に極めて行かなければなりません。

 また製造業としてのステンレス鋼産業は裾野が広い産業でもあり、そこには地域に密着した製造、流通、加工に係る多くの現場が存在します。日々の営みの中で、創意工夫を通じてより良い製品を生み出すことに努めているこの「ものづくり」の現場こそが我が国製造業の強み、所謂「現場力」を形成し、この現場力は地域の経済や雇用、延いては我が国の調和のとれた発展にも貢献しています。

 この現場力を最大限に発揮させるためには、「安全こそが全ての基本」となります。私達は「安全は全てに優先する」という不変の基本理念の下で、労働災害の未然防止に資する様々な安全活動の一層の充実・向上を図り、現場に潜む如何なるリスクも見落とすことのないよう、日々突き詰めていく必要があります。

 これらの取り組みを通じて、私達日本のステンレス鋼産業は、私達が有する世界最高水準の技術とものづくりの力を結集し、ステンレス鋼を通じて豊かな社会を支えるという使命を、我が国のみならずグローバルに担っていくことができるものと確信しております。

 ステンレス協会は、昭和34年(1959年)に設立され、ステンレス鋼の市場開発活動や調査統計事業、標準化事業等の取り組みを通じてステンレス鋼産業の発展に貢献してきた歴史を誇り、今後もこれらの取り組みを充実させていく所存です。また、世界屈指の技術力を誇る我が国ステンレス鋼産業は、worldstainless等での活動への積極的な参画を通じて、世界のステンレス鋼産業の健全な発展に資する発信にも努めて参りたいと存じます。

 末筆ではございますが、会員各社の格別のご指導とご支援をお願いし、会長就任のご挨拶とさせていただきます。

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