ステンレス協会 会長 伊藤 仁 (新日鐵住金ステンレス株式会社 代表取締役社長 ) |
謹んで新春のお喜びを申し上げます。年頭に当たり、一言ご挨拶申し上げます。
本年は、我が国にとって大きな節目の年になるものと存じます。即ち、本年4月30日には天皇陛下がご退位なさり、5月1日には皇太子殿下がご即位されるとともに、新元号への改元が行われます。まさに、新しい時代に歩を進める年であり、つつがなくお代替りがなされることを祈念いたします。
また、本年10月には、消費税率の10%への引き上げが予定されています。持続可能な社会保障制度の確立と財政健全化に不可欠な施策ではありますが、我が国経済に大きく影響するのもまた事実であると思われます。
このような節目となる年を迎えるにあたり、改めて昨今のステンレス鋼産業を取り巻く環境を見渡しますと、国内においては、底堅い景気を背景に、オリンピック・パラリンピック関連需要に代表される建設関連需要や自動車・産業機械等をはじめとした製造業向けなど、幅広い産業において堅調に推移しております。一方で目を世界に転じますと、新興国における需要の伸びを上回る能力増強が過剰生産能力問題を惹起したことで、世界規模での保護主義の横行と通商問題の激化を招くこととなり、我が国もその影響を受けることが避けられない状況にあります。
現在「鉄鋼グローバル・フォーラム」において、各国政府により過剰生産能力問題の解決に向けた検討が進められております。本年G20の議長国である我が国が、イニシアティブを発揮し、検討が加速されることを期待しております。ステンレス鋼産業を代表して、日本政府関係者のご尽力に感謝申し上げますとともに、ステンレス鋼産業においても調和の取れた発展が実現できるよう、引き続きご支援をお願いしたいと存じます。
ステンレス鋼は、高耐食性、長寿命、リサイクル性、意匠性など、多くの長所を有し、あらゆる製造業において有為な基礎素材であり、ステンレス鋼を用いた製品は、私たちの豊かな社会と生活を支えています。今後、私たちの生活領域が拡大していく中で、用途の高度化やより厳しい環境下での適用など、ステンレス鋼産業が果たすべき役割は増していくものと確信しています。その際、我が国のステンレス鋼産業が、世界をリードしていく原動力は、我が国ステンレス鋼産業が有する世界最先端の技術を更に進化させることに加え、ステンレス協会が取り組む、規格の標準化、調査統計などの基盤整備事業や需要開発事業が、不可欠であると考えております。ステンレス協会は、1959年8月に創立され 、今年で60周年を迎えます。節目となる年に改めて、会員各社とステンレス協会が手を携え、産業を取り巻く諸課題に取り組み、ステンレス鋼産業の発展、延いては我が国経済の持続的成長に資する活動を展開したいと考えております。こうした活動において、引き続き会員各社及び需要家の皆様のご理解、ご支援、ご鞭撻を賜りたく存じます。
結びにあたり、皆様にとりまして、本年が有意義で実りの多い年となりますことを心より祈念致しまして、年頭のご挨拶とさせていただきます。