ステンレス協会 会長 |
謹んで新春のお喜びを申し上げます。年頭にあたり、一言ご挨拶申し上げます。
昨年は、世界の政治、経済情勢の変化に片時も目が離せない大変な年でした。
クリミア・ウクライナ紛争、イスラム国(IS)との戦闘拡大と相次ぐテロ事件の発生、ヨーロッパの大量難民の流入等、多くの政治問題が起こりました。経済面でも、ギリシャの金融危機、中国経済の成長鈍化、オイル価格を始め幅広い天然資源価格の急落と、それに伴う資源国経済の停滞等、これまで成長を牽引してきた新興国を中心に、経済が減速する厳しい年となりました。
日本経済も、相対的に安定しているとはいえ、新興国経済の減速影響を受け、4-6月はマイナスに陥ることとなりました。
我々日本ステンレス産業も、大変難しい舵取りを強いられる年となりました。取り分け、中国の過剰設備能力問題、頻発した通商摩擦、ニッケル価格の下落等により大きな影響を受けました。
このように非常に厳しい状況ではありましたが、日本ステンレス産業は、これまで長年にわたり培ってきた技術・生産・販売・流通等の総合力を発揮することで何とかしのいできていると、その厳しさを実感しています。
今年も引き続き海外情勢につきましては波乱含みの展開を覚悟せざるを得ないと思います。
一方国内は、2020年の東京オリンピックに向けた動きがいよいよ活発になるとともに、超高齢化社会や水素社会等、将来に向けた種々の取組みにより新たな息吹が出てくると期待しています。
このような大きな変化の時代こそ、高度な技術力と豊富な経験を有する我々日本ステンレス産業にとってのチャンス到来と言えるでしょう。
それを現実のものとするためには、新たな商品開発や市場開拓を、切磋琢磨しながら迅速に進める必要があります。
ステンレスは、リサイクル性に優れ、添加合金や製造方法によって、耐食性・強度・加工性・意匠性など場面に応じて多彩な特性を持つ、多様な可能性を秘めた素材です。新たな需要やニーズに対して、我々日本ステンレス産業は、このポテンシャルを多いに生かし、革新的な商品の開発、サプライチェーンまで含めた様々な提案などで応えていくことにより、内需・国際競争力を伸長させ日本経済への寄与ができると考えております。
ステンレス協会といたしましても、業界の発展に寄与すべく、今年も尽力していく所存でございますので、会員各社の格別のご指導とご支援をお願い申し上げます。
最後になりますが、皆様方のご多幸を祈念いたしまして、年頭のご挨拶とさせていただきます。