ステンレス協会 会長 三 喜 俊 典 (日新製鋼株式会社 代表取締役社長) |
平成26年を迎え、謹んで新春のお喜びを申し上げますとともに、年頭にあたりまして、一言ご挨拶申し上げます。
平成25年の鉄鋼業界を振り返ってみますと、政策効果や円高修正による輸出環境の改善等を背景に、自動車分野や建材分野をはじめとした需要部門の活動水準が回復するなど、国内の鋼材需要は総じて堅調に推移しました。海外においては、米国経済の回復基調に加えて、欧州経済にも改善の兆しが見え始める一方、中国における鋼材需給バランスは改善の目途が立たず、海外の鋼材市況は総じて低調に推移しました。
ステンレス業界におきましても、前半は鉄鋼業界全体の動きからは取り残された感が強かったものの、後半には、少なからず国内需要の増勢が感じられる展開となり、ある程度の期待感を持って新年を迎えることができたのではないでしょうか。
今後の国内需要については、復興需要や東京オリンピックを目指した様々な動きに牽引される形で、堅調に推移するものと期待しております。消費税の駆け込み需要の反動、人手不足による工事の遅れ等、懸念材料はあるものの、需要の底堅さは確実なものではないでしょうか。一方で、東アジアにおける過剰生産に起因する鋼材需給ギャップという構造問題は当分解消しないと思われますし、国内市場における輸入鋼材増加を含め、今後も厳しい環境は続くものと覚悟せざるを得ないと考えます。
このようななか、素材メーカーとしては、徹底した合理化・コスト削減へ注力し、国際競争に打ち勝つだけのコスト競争力を確立することはもちろんのこと、品質競争力にも更に磨きをかけていく所存です。また、多角的な視点からお客様とともにマーケットの創造に取り組むということが重要であり、ステンレスの新商品開発と新規用途開発に向けて更に注力しなければならないと考えております。
機会ある度に申し上げておりますが、ステンレスは開発されてから一世紀しか経っていない新しい素材です。成長の余地はまだまだある魅力ある素材であると思います。メーカーのみならず、業界全体でこの新しい素材の可能性を追求していきましょう。
最後になりますが、ステンレス業界の益々の発展とそこに携わる皆様方のご健勝を祈念いたしまして、年頭の挨拶とさせていただきます。