年頭所感

 

ステンレス協会 会長
久保田 尚志
(日本冶金工業株式会社 
代表取締役社長 )

謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

昨年は、新型コロナウイルスの変異株による感染再拡大もありましたが、ワクチン接種の進展などにより世界的にはウイズコロナの世の中へと舵取りが進みました。我が国においても行動制限の緩和、入国制限の緩和などの施策により、新型コロナウイルスへの対応と社会経済活動の両立に向けた新たな段階に移行しております。
一方、22年初頭のロシアによるウクライナへの侵攻などによる資源・エネルギー価格の高騰や、インフレを背景にした欧米各国の急ピッチの金利上昇など、国際情勢や世界経済動向に留意が必要な状況にあります。又、昨年3月にはステンレス産業にとっては主原料となるニッケル価格の暴騰が発生。一時的なLME市場の取引停止という前代未聞の事態に至った事も記憶に新しい所であります。まさに当業界においても激動の1年であったという事が言えるのではないでしょうか。

更に、長期的な視点に立てば、歴史的な転換点とも言える世界的な脱炭素社会への移行という大きな流れは、あらゆる社会インフラ・諸産業において既存プロセスの見直しを足早に且つ強力に促すものとなるでしょう。急速に広がるEV化、再生可能エネルギーへの転換、我が国でも水素社会の実現を標榜し、関係省庁からは様々なビジョンが示されております。これらの大きな変革の波は、ステンレス鋼の持つ耐食性、耐熱性、加工性、リサイクル性、強度など、優れた特性を活かした新たなビジネスチャンスをもたらすものと期待を寄せております。

このような歴史的な変革を目前にしている今こそ、我々ステンレス業界は変化を迅速に捉え機敏に行動して行く事、社会や顧客から新たに生まれるニーズを的確に捉え、優れた商品やサービスをタイムリーに提供して行く事が必要です。そのためにも、長年培って来た研究成果・製造技術を駆使し、多様な製品ラインナップに更なる磨きをかけ、日本製ステンレス鋼の高品質で優れた製品を安定供給する事が不可欠となります。幸い我がステンレス業界には商社・流通・加工・メーカーのすべての関係者で構築してきた強靭なサプライチェーンが存在しますが、これも大きな強みとして大いに力を発揮するものと考えます。

ステンレス協会と致しましても、大変革時代の中、業界を取り巻く諸課題に迅速に取り組み、我が国のステンレス産業の発展に資する活動を今年も推進して参る所存でございます。引き続き会員各社及び需要家の皆様のご指導、ご支援をお願い申し上げます。

最後になりますが、本年が皆様にとって幸多き一年となります事を祈念し、ご挨拶とさせていただきます。

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