羽田空港再拡張工事におけるD滑走路は重要な社会資本であり、100年間の耐久性と適切な維持管理が要求されている。
その桟橋部に用いられる鋼構造部材の防食については、有機系防食塗装では耐用年数不足による塗り替えコストの増大、チタンクラッド等では初期コスト過大という課題があった。
これに対し、今回D滑走路に採用された耐海水性ステンレス鋼薄膜ライニング工法は、その耐食性能及びLCC面で大変優れており、初めて空港施設への大規模な適用を実現した。
施工にあたっては、耐海水性に優れたステンレスによる耐食性確保と薄手化および、これに適した溶接工法(インダイレクト抵抗シーム溶接等)による効率化など、ステンレスの特徴と他素材とのコスト比較を材料と工法から総合的に検討し開発されたものである。
今後の同分野におけるステンレスの普及拡大に大きな可能性を拓いたものであり、最優秀賞にふさわしい作品である。 |
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